今日は亡き兄の55回目の命日

55年前の今日は真夏みたいに暑い日だった。

16歳の誕生日の日、高1の兄は野球部の練習試合に向かう中、後ろから走って来た暴走トラックにはねられ亡くなった。

自分は小1で学校の教室にいたが、母親が誰かと一緒に泣きながら入ってきて、一緒に事故現場に近い兄が通っていた高校に向かった。

だいぶ待ってたら、坂を登ってきた親父の姿が目に入ってきた。あの時以降の親父の落ち込み方は半端なく、よく仏壇に向かって名前を叫んでた。

法事のとき、加害者の運転手が来て、親父に頭を下げて、親父も同じように下げていた光景が目に焼き付いている。今から思えば、親父、立派な態度だったよな。

それから35年経ち、親父も寝たきりになり、昏睡状態から目が覚めたとき、ベット脇に兄が笑って立っていたそうで、どこへ行ったかと母親に聞いていた。そのときはいよい、お迎えが来たのかと思った。その時から親父は一時持ち直したが、1年経ち、亡くなった。

55年前の一瞬の交通事故がなかったら、みんなのその後の人生も少しずつ変わっていたかもしれない。

自分も60を過ぎた。今、兄を思い出せる人もいなくなってきた。あと何年かしたらこの世に生きた痕跡もわからなくなる。それが人生というものかな。

兄の分まで、もうしばらく頑張って生きてみる。