冬の喝采

『冬の喝采』。この小説の作者は黒木亮、本名は金山雅之、早稲田大学競走部出身で3年、4年のときに箱根駅伝の3区、8区を走っている。昨日、日本テレビで放送の『箱根駅伝部ランナーの『今』を大追跡スペシャル』に登場していた。
中学、高校、大学の練習日誌をもとに再現された自伝的小説で、瀬古利彦と師匠の中村清が実名で生々しく描かれていて、作者のプライベートな境遇と合わせて大変興味深く読ませてもらった。作者曰く、自分の生きた証を残したいとのことで、その気持ちも理解できる。
中学生のときから、真冬の地元、北海道深川で夜の国道も走り抜き、高校生のときの故障から大学2年で復活するまでの苦悩も詳細に描かれている。
これほどストイックな生き方ができたことが作者の今を支えているのだろう。
中村清というたぐい稀な人間像と弟子の瀬古利彦、そして作者を含めた登場人物に何故か懐かしみを覚えてしまう。あの頃、自分も同じ西早稲田のキヤンパスでうつつを抜かしていたのかと思うと、ちょっともったいなく、戻れるものならあの頃に戻りたい!