関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故

先日の台風によるタンカー走錨により、関西国際空港への連絡橋が破壊され、被害が広範囲に広がっている。
そもそも、タンカーの船長が海保が奨めるエリア内でなく、なぜあれだけ近い場所に錨を下ろしたのか。船長は大丈夫だと思ったとのことだが、今度も大丈夫だろうという判断は失敗の典型だろう。『今度も大丈夫』が確固たる自信になるとリスクを感じなくなり、事故の危険性も高くなる(『失敗は予測できる』中尾政之)とのことである。

航空機の機長のように1秒を争う判断が必要な職種はその場で命を預けるしかないが、このたびの船長の判断にあたっては、そこまでのタイムプッシャーはなかっただろう。船長の独断でなく、会社からの指示はなかったのだろうか?あらかじめ、タンカー会社が何をリスクに捉え、対処方法が決められていたのか、決められていたとしたら船長の行動はそれに沿っていたかが気になる。

次にこのたびの損害賠償については、一義的にタンカー会社の過失か不可効力かが問われる。海保からの指示は法的拘束力はないとのことだが、だからと言って免責はないだろう。強力な台風が近づいていることは分かっていて、タンカーの船長なら職種柄からも当然にこのような事態は想定しないと駄目だろう。
また、損害賠償の範囲が広がるだろうからタンカー会社の資力では対応しきれまい。そうなると100億円までは運営会社の関空エアポート、それ以上は新関西国際空港会社が負担する契約のようである。
観光目的の外国人が入国できなくなって、地域経済も大打撃のようである。

さらに、そもそも連絡橋が破壊されただけで、機能不全となる国際線の空港でよかったのか、テロなども想定できるだろう。過去からの経緯や様々な力関係などの産物がこの空港で、想定外の隙間が残ったという印象である。そして、このような事故は、人知の隙間を掻い潜って、人をあざけ笑うように突然発生する。これから原因究明が始まるだろうから、その経緯を見守りたい。