度肝 を抜かれた選手

日本ハムの栗山監督が大谷翔平をメジャーに送り出すとき、『度肝を抜いて欲しい』とマスコミのインタビューに答えていたが、『流石に栗山監督』と思った。度肝を抜くとは過去の誰かと比べようのないくらい、たかーいレベルを周囲に見せつけるということだろう。
栗山監督の期待に応えて、怪我はあったが、大谷翔平は間違いなく本場アメリカの度肝を抜いている。

そこで、自分が今まで見てきた中で、度肝を抜かれた選手を何人か紹介しよう。

始めに1968年メキシコオリンピック走り高跳びで金メダルを取ったアメリカのフォズベリー選手。当時、ベリーロールが全盛の中、初めて背面飛びをした選手である。当時、小学生だった自分は、なぜこんな飛び方ができるのか不思議でならなかった。確か記録は2m24㎝で当時としてもかなりのハイレベルだった。
次は1972年のミュンヘンオリンピック体操金メダルの我らが塚原光男選手。初めてみたとき、月面宙返りというより『ムーンサルト』という呼び方がしっくりしている感じがした。ユラユラ、フワーッと着地し、動きがすぐにつかめなかった。当時のNHKオリンピック実況放送でも『地元放送局は繰り返し何度も何度も映像を放送しています』と語っていたのが印象的だった。それほど従来の概念を超えた全く新しい宙返りだった。
そして、あとひとりは1996年夏の全国高校野球大会の松山商業矢野勝嗣選手。熊本商業との決勝戦延長10回裏、一打サヨナラ負けの満塁の場面で強肩を買われライトに入ったすぐあとに、誰が見てもタッチアップに有り余る大飛球を、ノーバウンドのバックホームで返球しピンチを救った場面はまさに『奇跡』だった。打球が甲子園の浜風に少し押し戻され、山なりの返球がその浜風に乗り、まっすぐに走ってきたタッチアップのランナーとドンピシャリだったのも神業としか思えなかった。

皆さんなら『度肝を抜かれた選手』として、誰を選ぶだろうか。